1943年生まれのアメリカ人で正しくはギルバート・フランク・アメリオ。企業の再建屋とも呼ばれる経営者です。有名なものとしては、ナショナルセミコンダクターという会社を再建したことですね。一時期5億ドルという赤字をたたき出していた会社だったのですが、その会社を過去最高の利益を出し、3年連続の黒字を実現させました。また特許を6個ほど持っているなど、技術者としても非常にレベルの高い人なのです。
そんな経営者ですが、1996年から17ヶ月だけアップルでCEOをやっていたときがありました。そのときアップルはジョブズが追放され、CEOがものすごい勢いで入れ替わっていく非常に安定しない時期でした。いわゆる氷河期の時期ですね。ほとんどの社員がどこかに売却することを考えて行動をしており、その中にはサンマイクロシステムズに買収される可能性もあったのです。
しかし、アメリオはそうは考えずにアップルを再建しようと、様々なリストラを行いました。
ちなみに、余談なのですがリストラという言葉は色々なところで使われると思いますが、本来の意味はリストラクチャリングと言い、企業の再構築という意味です。単に首切りのことをさすわけではないのです。
アップルは非常に混沌とした状況で、次世代OSもまったくまとまっていない状況でした。その中ですので、OSを他の会社から取り入れようと考えたのです。そして、その候補の中にジョブズの作ったネクストという会社も入っていたのです。
ネクストは黒字どころか赤字続きで、潰れる寸前だったのです。しかし、アメリオはジョブズのプレゼンを聞き、その魅力を買いネクストを買収することに決めたのです。
それがいけなかった。
ジョブズはアップルに舞い戻り、水を得た魚状態になったのです。アメリオがCEOをやっていた時期はアップルの歴史の中でもトップクラスに悪い業績で、どんなに対策を打ってもすぐには結果が出ない状況だったのです。それをうまく利用し、アメリオがアップルの経営をしてもまったく向上しないと言い、辞任に追い込む作戦に出たのです。
また、アメリオの対策は非常に基本的なものが多く、アップルらしくないとマスコミからも良い評判は少なかったのです。そのこともあり、アメリオは1997年に辞任をすることになったのです。
その後はジョブズが暫定CEOになり、ネクストの社員をアップルの重役にします。これは通常、買収した側がやる行動であり、買収された側がやる行動ではありません。しかし、そんなことを平気でやる精神が常人からかけ離れています。
アメリオはその後、ベンチャーキャピタリストとして起業を手助けしています。
参考にした本:アップル薄氷の500
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